『好き』でも

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君のことが信じられなくなった。 …うそ。 いつだって信じてなかった。 自分のために紡がれる言葉も触れてくるその手も。上気する体温ですら。 信じてないって気付いちゃったんだ。 本当は「好き」が何かさえわかってないんだ。だってカタチがないんだもの。 だからね、もういっそ『好き』っていう細胞の一つになることに決めたんだ。 そして細胞分裂を繰り返して、大きな『好き』の塊になる。 それは果実の様な見た目で、しかもうんと甘い味がすると思うよ。 そして僕は君に食べられる。 僕は『好き』の細胞で君の細胞と溶け合う。 そしたら今度こそ君のこと、君が紡ぐ『好き』を信じられると思うんだ。 だって僕がそのカタチだもの。
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