【ヒサルキの真相】

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そうは言うものの、私は民俗学を、彼女は生物学の研究をそれぞれ進めるだけであり、帝国大学大学院の頃と同様な生活を送っていたのである。 だが、一つ気になる点があった。 それは、彼女が何処かに行ってしまう時間帯があったことだ。 研究所職員の誰に尋ねても芳しい返答は得られず、当の彼女に聞いても言葉を濁すばかりで要を得ない。 その一方、着実にその時間帯は増えていった。 いよいよ変しいと思っていた矢先、或る日、私は研究室の窓の向こうに彼女の姿を見つけた。 どうやら、研究所から何処かに行くようである。 だが、先述したようにここは山深い場所であり、近くの村落まで歩いて半日以上もかかるのである。
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