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実を言えばこの後の記憶は無い。
恐らく、研究所からあの神社へと足を運んだはずなのだ。
だが、その間の記憶は欠落し、次に覚えているのは神社の床に転がる冷泉中尉の死体だった。
私は視線を横にずらす。
くちゃくちゃ、くちゃくちゃ。
そして咀嚼音。
「久幸……久幸……」
彼女は赤子を逆さにして両手で掴むと、湯気の立つ内臓を貪っていた。
私は何も出来なかった。
彼女がすっかりその赤子を食べ終わってしまうまで、私は何も出来なかったのだ。
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