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僕は何を考えることもなく少女の方へ駆けていた。
響き渡る甲高いブレーキ音。
それに負けないくらいの少女の声。
全部スローモーションで見えて、聞こえる。
僕は少女を抱えて反対車線へと転がる。
抱えてと言うより突き飛ばした、という方が正しそうだ。
トラックはブレーキで止まり切れず人をひいたかも、という恐怖からか僕たちをそっちのけて、そのまま走っていった。
辺りが静寂に包まれたとたんに
「ぃったいっ!」
少女が小さな悲鳴が響く。
僕は肩をびくりと震わせた。
「ご、ごめんね?…ケガしちゃったよね?」
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