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しかし僕だって男だ。やっとのことで就いた会社の味方をしないわけにいかない。だから僕は玄関先で鉢合っただけの仲である中年の彼と口論をしているのだ。理不尽な怒りのはけ口となってやっているのだ。
「てめえコラボカすぞクソガキぃ」
「あんだおっさん? おれとやるきかよコラ」
そうやって僕は無職となったのだ。いつか社会人二日目の憤りは国家機関へと向けられるが、それは僕が本当の意味で大人になったあとの話であり、この場で語られることはない。ここまでが前置きであり、ここからが本題だ。それは僕という存在の確認に終始する。
僕といえば、たとえばそれは無職三日目の日に出会った少女だ。小さくて、細くて、何を考えるのかよく分からないごく普通な少女だ。
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