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レウコユムが軋む音を立てる階段を伝って二階から玄関ホールへと降りていく。
すると玄関扉から一人の女とまだ幼い少年と少女が現れた。
女は鮮やかなオレンジ色のワンピースがよく似合う淑女で、少年と少女はその女の両脇に付き従うように立っていた。
「お久しぶりですわ、レウコユム」
女がワンピースの裾を摘まみ、優雅に挨拶する。
「皆様、お久しぶりです」
レウコユムがそう言って階段の手すりを人差し指で軽く叩くと、今まで廃墟だった屋敷やその周辺が瞬く間に最盛の頃の姿に戻った。
「相変わらず綺麗なお屋敷ですわね」
「ええ、庭園もそのままです。今、紅茶を用意しますよ」
「久しぶりのレウコユムの紅茶、楽しみですわ」
微笑んだ女は両脇にいる少年と少女の頭を撫でてから、一人で庭園に通じるガラス扉へと向かった。
「あなた方は地下室の片付けをお願いできますか?」
レウコユムが残された二人にそう頼むと、二人はこくりと頷き、並んで地下室に続く奥の部屋へと歩いていった。
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