心を開いて

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心愛side それから、授業があり放課後となった。 有村くんは放課後にはすっかりクラスの中心で。やっぱりすごいと思った。 たった1日でクラスのみんなと仲良くなれるなんて尊敬する。 私には出来ないから。 放課後、私は家に居たくないからいつも文句を言われない時間まで残っている。 母さんは、私が7時までに家に着けば怒鳴らない。何故だかは分からない。彼女なりのこだわりだろう。 だから私が学校を出るのは6時30分ごろ。 学校では完全下校の時間となっている。 今は5時。 あと1時間以上ある。 だけど、いつもの事だから慣れた。 この時間を私は、授業の復習に使っている。あるいは、先生に分からないところを尋ねに行っている。 まあ、普段は自分1人なんだけど。 みんな部活をしていたり、遊ぶがために早く帰宅したりするから教室は蛻の殻。 誰1人居ない。 いや、居なかった。 昨日までは。 なのに今日は人がいる。 『なぁ、どうして帰らないの?』 そう私に尋ねる彼だ。 『帰りたくないから』 短く答える私。 『え…結城さんも…?』 小さな声で呟く彼、そう、有村くんである。 私はある言葉に引っかかった。 “…結城さんも?…” “も”……って事は、有村くんも? まさかまさか。 クラスの中心な人に限ってそれはない。 本当の笑顔だったし、あれは。 だったら何でだろうか。 、
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