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『有村くんも、帰りたくないの…?』
私の質問に、少し戸惑いながらも有村くんは答えてくれた。
『うん…まぁね…』
意外だった。
クラスの人気者で、明るい有村くんが“帰りたくない”なんて。
どこか親近感が湧いた気がした。
今日1日で、有村くんと私は住む世界が違うんだと思っていたけれど……
どこか、同じに見えた。
同じ瞳をしているようにも見えた。
遠くに感じていた彼が、こんなにも近くにいる。
そんな彼に
不思議と、自分から話しかけてしまった。
『どうして……?』
私の質問に彼はまた、少し戸惑いながらも笑った。
だけどその瞳は、とても悲しそうに見えた。
『俺ね、
『親から愛されてないだ』
『…え……?』
予想外の返答だった。
有村くんに限って、そんな事があるのだろうか……
『何でだろうね、結城さんには話しちゃった。話したく、なっちゃった。』
そう言う彼の瞳は、やっぱりどこか悲しそうでたまらず私は泣きたくなった。
『結城さんはさ、どうして帰りたくないの?』
ふと有村くんに聞かれた。
彼が正直に話してくれたんだ。
私も話そう。そう思った。
『私も…同じなの……愛されてないから。愛してくれない家族なんて、家族じゃないから。一緒にいたくないの。』
『…うそ…』
有村くんはとても驚いた顔をした後、私に言った。
『俺たちさ、なんか似てるね』
『そうだね』
お互い、笑った。
今度は悲しそうにじゃなかった。
それがたまらなく嬉しかった。
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