転校して来た男の子

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休み時間になると、有村くんは一気に人だかりに囲まれた。 私はそうなる事がわかっていたので、教室の隅にある本棚を見に来ていた。 ここの本、もう殆ど読んだ。 だって毎朝読書読書読書…… 気づけば月間図書室利用者1位になってしまっていたり、色々あった。 だから、なるべく図書室に行かないようにして学級文庫の本を読んでいたのだけれど、やっぱりすぐに読みおわる。 結局、どれを読むか決まらず自分の席を見つめた。 と、言うか、自分の席の隣を見つめた。 まだ人だかりがある。 席に座れそうになかったが、運良くチャイムが鳴り席に戻ることができた。 ふと隣を見ると、なんだか疲れ果てた感じの有村くん。 そして額には汗。 そりゃそうだ。 みんなに囲まれて暑かったのだろう。 そっと窓を開けると、心地よい風が入って来た。 『ありがとう…』 有村くんがコッチを見ながら言った。 『……?』 何のありがとうなんだろうか。 そう思っていると、 『俺が暑いなぁって思ったの分かったの…?』 どうやら彼は、私が窓を開けた事に感謝しているようだ。 『いや、額に汗かいてたし、みんなに囲まれて疲れたかなって思って』 思ってた事を口にすると、 『なるほどな!でもやっぱりありがと』 ニカッと笑う有村くんに、少しだけ胸が高鳴った。 、
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