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後方で父と母が何か叫んでいたが気にする余裕などなかった。
「ヤバイヤバイヤバイ」
とカズヤは呟きながら、森の中を走っている。何度も転んだ。
「とにかく下って県道に出よう」と、小さなペンライト片手にがむしゃらに森を下へ下へと走っていった。
考えが甘かった。
小川のあった広場からも、町の明かりは近くに見えた気がしたのだが、1時間ほど激走しても、一向に明かりが見えてこない。
完全に道に迷ったのだ。
心臓と手足が根をあげ、俺達はその場にへたり込んだ。
「あのホラー一家、追ってくると思うか?」とカズヤ。
「俺達を食うわけでもなしに、そこは追ってこないだろ。映画じゃあるまいし。
ただの少しおかしい変人一家だろう。最後に見たヤツは、ちょっとチビりそうになったけど…」
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