「わたくしを楽しませなさい」

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「お嬢様、朝でございます。起きてくださいませ」 綺麗な黒髪で、右頬に黒いスペードのマークのある、タキシードを着た美青年が、屋根付きのベッドの側に立って、眠っている金髪の少女に声をかける。 「わたくしはもっと眠っていたいの……放っておいて戴けないかしら……スペード……」 「そういうわけにはいきません。本日は午前九時から世界中の貴族の皆様の集まるパーティーが開かれますので……」 「……」 スペードと呼ばれた青年は少女にそう言うが、少女は何も反応を示さない。 「お嬢様!」 スペードが大声を出すと、少女が驚いて体を起き上がらせる。 「はぁ、分かりましたわ。起きて差し上げましょう。ただし……」 「ただし?」 スペードは顎に手を当てて少女に聞き返した。 すると、少女はニヤリと微笑み、ゆっくりと口を開いた。 「わたくしを楽しませなさい。あなた達、トランプの召使いの四人でね……」 「本来は時間がないのですが、それが条件であれば……了解しました。ただ今クラブ、ハート、ダイヤの三人をつれて参ります」 スペードは一度ため息をついてお辞儀をすると、ゆっくりと少女の部屋から出ていった。
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