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―――同時刻。
レイフォンは生徒会室に連れていかれていた。
喧嘩をしていた武芸者達を一瞬で鎮めたのに目をつけられたのだ。
今現在、レイフォンの手には制服があった。武芸科のものである。
目の前にいるのは生徒会長だ。
カリアン・ロス。学園都市ツェルニを束ねるトップである。
「君には武芸科に転科してもらいたいんだよ。レイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフ君」
「……何の事でしょう?」
「君の奨学金はAランクにしよう。君の過去をバラされたくなければ、武芸科に行くことをお勧めするよ。」
笑顔でカリアンは言うが、目は笑っていなかった。
「僕は…普通の勉強をするためにここにきたんだ。武芸科には興味はない。」
「武芸科でも一般教養は学ぶよ。
だが、ツェルニはもしかしたら今年で無くなるかもしれない。ツェルニの所有セルニウム鉱山は一つ。
私が入学したときには三つあったが、二年に一度の学園都市対抗戦に負けてしまい、残り一つになってしまった。
今年の対抗戦には何がなんでも勝たないといけない。ツェルニを僕の代で終わらせるわけにはいかない。
僕の故郷のようなものだからね。
その為ならどんなことでもしますよ。君も利用する。
槍殻都市グレンダンの天剣授受者十二位、レイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフ君。」
生徒会長の真剣な目に、レイフォンは何も言えなかった。
ただ、渡された制服を握りしめるだけだった。
―――静かになった室内に、一陣の風が吹きぬけた。
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