転校初日は波乱がいっぱい

12/47
前へ
/304ページ
次へ
「よくわからんやつだなお前は……。まあ嫌いじゃねぇな」 「俺も先生は苦手ですけど、嫌いではない気がします」 確かに俺はこの人が苦手だ。それに語弊はない。 だけど嫌いかと問われればまた話はべつ。 苦手と嫌いは違う。 榎本先生の雰囲気は苦手だけど、この人の自体は決して嫌いじゃない。 教師っぽくない教師は割と好きだ。 「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!!」 大きな手で頭をくしゃくしゃにされる。 「止めて下さい。髪型が乱れます」 「べつになんもつけてねぇだろ?」 「……まあその通りですけど止めて下さい」 頭から榎本先生の手が離れる。 やっぱり俺はこの人が苦手みたいだ。 「そう言えば秋谷は一人暮らしなんだよな?」 どこからか取り出した資料を片手に、榎本先生は言った。 「はい。何か問題でも?」 「いやべつに。ただどうして一人暮らしすんのかって思っただけ」
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!

571人が本棚に入れています
本棚に追加