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「よくわからんやつだなお前は……。まあ嫌いじゃねぇな」
「俺も先生は苦手ですけど、嫌いではない気がします」
確かに俺はこの人が苦手だ。それに語弊はない。
だけど嫌いかと問われればまた話はべつ。
苦手と嫌いは違う。
榎本先生の雰囲気は苦手だけど、この人の自体は決して嫌いじゃない。
教師っぽくない教師は割と好きだ。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!!」
大きな手で頭をくしゃくしゃにされる。
「止めて下さい。髪型が乱れます」
「べつになんもつけてねぇだろ?」
「……まあその通りですけど止めて下さい」
頭から榎本先生の手が離れる。
やっぱり俺はこの人が苦手みたいだ。
「そう言えば秋谷は一人暮らしなんだよな?」
どこからか取り出した資料を片手に、榎本先生は言った。
「はい。何か問題でも?」
「いやべつに。ただどうして一人暮らしすんのかって思っただけ」
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