571人が本棚に入れています
本棚に追加
挨拶前に滑るとはなんたる不幸……じゃなくて、
「どういうこと……だ?」
首だけ振り返るとすぐ目の前に女の子の顔があった。
可愛らしい顔、よく見たら女の子は俺に覆い被さるように倒れていた。
いいシチュエーションだが、さすがに顔が近すぎる。
「あの……とりあえずどいてくれないか? 動けないんだわ」
体はうつぶせで両サイドには女の子の腕。
まるで動けそうにない。
「あ、ごめんね!?」
女の子はすぐに立ち上がる。
なんだかんだで残念に思いながらも、俺も立ち上がる。
「大丈夫ですか!? もうダメだよひなたちゃん、前には注意しなきゃ」
長い髪を二つに縛って肩に下げた女の子が息を切らして駆け寄ってくる。
「にゃは、ごめんごめん遥。躓いちゃって」
「謝るのは私じゃないでしょ」
「そうだった」
ひなた、と言われた女の子がこっちに向き直る。
茶色い髪のショートカットに幼い顔立ち。
最初のコメントを投稿しよう!