転校初日は波乱がいっぱい

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ひなた、その名前に聞き覚えがあるような、ないような。 ギャルゲーのキャラにそんなのがいたかな。 「ごめんね、ぶつかっちゃって」 ひなたと呼ばれる女の子が苦笑いしながらそう言って、俺のバッグに付いたストラップを見て固まる。 「魚がどうかしたのか?」 「死んだ魚の目」 ひなたがポツリ呟いた。 というか、見ず知らずの人にいきなり言われたくはないよ!! 「いきなり失礼なやつだな……」 「ねぇ……わたしのこと……覚えてる?」 胸を打たれるような上目使いで彼女は言った。 「……は?」 とてもファンタスティックな状況になってしまった……。 知らない人にいきなりぶっ飛んだことを言われるなんて、誰が思っただろうか。いや、思わない。 確かにこんな可愛らしい女の子に言われたら覚えてると嘘をつきたくなるが、俺はこの子に見覚えがない。 とはいい切れず、心の奥にはもやがかかっているような感覚だ。
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