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「だーめ。そこの人もごめんなさい!!」
どんどん小さくなっていく二人の影を俺は呆然と見つめていた。
付いていたネクタイの赤色、あれは二年生のものだった。
同じ学年……どうか違うクラスになりますように。
満開の桜を見上げ、俺は神に祈った。
しかし、ひなたに遥、やはり聞き覚えがあるような。
ギャルゲーではない気がする。
このもやがとれないまま、俺は桜の続く通学路を歩いた。
県立葉桜高校。見た目こそボロいが、愛着があってなんかいい。
まあ当然の如く遅刻をし、俺は多少なりとも気まずい気持ちを持ちながら職員室のドアを叩いた。
てか先生たちって今始業式に行ってみんないなかったりするんじゃないかと思ったが、もう遅い。
おそるおそるドアを開け、軽く中を覗く。
が、すでに目の前に人が一人立っていた。
「お、来たか。お前が秋谷だな?」
上下がジャージ姿の若い教師。
さしずめ体育教師と言ったところか。
「あ、はい」
とりあえず返事をしておく。
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