転校初日は波乱がいっぱい

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「5分遅刻だな。まあ今日は許してやろう。明日からはちゃんと来いよ。いいな?」 ぐいっと顎を持ち上げられ、近くに先生の顔が広がる。 男とこんな近くで見つめあっても、何も感じるものがない。 「お前、死んだ魚みたいな目してるな」 毎度のように言われ続けてきたことだが、俺の目は本当に死んでいるのだろうか。 「よく言われます」 「そうか、俺は榎本だ。ちゃんと語尾に先生をつけろよ」 「は、はあ……」 体育教師って感じがするな。 言動とか体育教師っぽい。 「ちなみに秋谷、俺なんの教科担当してると思う?」 「体育に決まってるでしょ。そんなオーラがにじみ出てますよ」 俺がそう言うと、榎本……先生が腹を抱えて笑った。 「いやあ、やっぱそうだよな! そう思うよな!」 まさか違うのか。 「もしかして音楽とか?」 「そりゃさすがにないだろ! 俺は数学だ」 「は……?」 教師ながら、こいつ何言ってんだと本気で思ってしまった。
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