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奇声と呻き声
それが今自分を取り巻くものの全て
(………………)
ただの気持ち悪い肉塊にしか見えないそれらは汚水を美味しそうに啜りながらぺちゃくちゃ話していた。
頑張れば聞き取れるのだ。
いきなり話を振られてもいい様に聞くもののやはり辛い。
チラリと視線を逸らせば見えるものは豚の臓物をぶちまけたような世界。
記憶が正しければここは大学のカフェテリアだったはずだ。
ただ赤黒い壁やテーブルは気持ち悪いとしか言い様が無くいまや自分の目には脈打って見える。
気持ち悪い
「ナあ、き〈もヽ/ウおもウタ〝ロ?」
「え?あぁ、はい」
咄嗟に返したが会話の内容なんて知らないしどうでも良かった。
早くこの場から立ち去りたい。
そうだ、立ち去ろう。
苛々しながら財布を取り出し適当に掴んだ紙幣をテーブルの上に置く。
「今日もまた検診がありますのでまた」
叩きつけるように言い逃げるようにその場を去る。
残された一万円札と一口も口の付けられていないコーヒーを呆然と残された者達は見るしかなかった。
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