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色素の薄い髪の毛に淡い紫の瞳
一見温厚に見えるイヴァン・ブラギンスキはニコニコと笑みを絶やさなかった。
今日は週一である定期健診の日。
つい3ヶ月前の事故で奇跡的に生き残った青年。
目の前に座る本田菊はイヴァンを見ているようで少し斜め下を見つめ視線を逸らしている。
完全な拒絶をされながらも気にせず健診を続けた。
「今日もおかしい所とかは無いよね。うんうん無い」
「………」
「なんかあったら全部話して欲しいんだぁ。異常とか痛いところとか…ね?」
カルテに引き続き良好と書きながらさりげなく観察してみる。
医師にとってとても扱い辛い患者なのだ本田菊は。
非協力で何を聞いても反応は薄い
少しばかり怯えているようにも見える。
「最先端技術を使ってるからちょっとリスクもあるんだよね…人によっては」
「そうですね」
冷笑をうかべたがイヴァンがその意味を理解する前にいつもの無表情に戻ってしまった。
「先生は…私が言うこと、なんでも信じてくれますか」
(本田君、日に日にやつれてる)
うん、信じるよなんて説得力無いなと思いながら頷く。
それを軽く笑い次の言葉を紡ぐ。
「…奥涯先生はいつ病院を辞められましたか?」
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