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10分程度で、合宿所に着いた。
着いてからは、荷物を部屋に運び、すぐに食堂で昼食を取った。
食べ終わり、30分ぐらい経った頃、運び込まれていた楽器を、大ホールへと運び、それぞれの楽器を取り出し、練習が始まった。
まずは個々に音出しをして、その後に基礎練習。
すぐに合奏練習が始まって、いつもと違う雰囲気に緊張していた。
もちろん、あの頭痛もまだ治っていなかった。
しばらく合奏していくうち、私は酷い寒気を感じていた。
頭痛も酷くなる一方で、頭がぼうっとしていた。
これはさすがにまずいと思い、休憩になった瞬間、顧問のR先生に体温計の場所を聞いた。
反対側にある椅子に座り、体温計を脇に挟んで計っていると、心配そうな顔をしてユミとM先生が近付いて来た。
ピピッと鳴って、体温計を取り出し、表示された数字を見て、私は声を出して驚いた。
―38.3℃
「ええっ!?」
それを伝えると、ユミも声を出して驚いていた。
M先生も、さらに心配そうな顔になっていた。
とりあえず、風邪薬を飲み、部屋で休むように言われ、私は部屋のベッドに倒れ込んだ。
…嫌な予感が、当たってしまった。
私はショックで、しばらくは眠れなかった。
頭は痛いし、練習にも出れない。
足を引っ張っている自分に、嫌気がさした。
誰も来ないうちに、ベッドの中一人で泣いた。
―どうして、自分はこうなのだろう…
―どうして、自分だけ…
気付くと、少し眠っていた。
起き上がってみると、薬が効いているせいか、頭痛もなく気分が良かった。
すると、部屋に三年の女の先輩達が、夕食のバーベキューで焼いたおにぎりなどを色々と持って来てくれた。
食欲はなかったが、せっかく持って来てくれた物だし、少しでも食べておこうと思い、おにぎりを一つと、ホタテを食べた。
先輩達が部屋から出て行ったすぐ後、部屋のドアを叩く音が聞こえて、誰かが入って来た。
M先生だった。
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