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「入るよ」
私は、また寝ようと思っていた所だったが、わざわざ来てくれたんだし、少しM先生と話そうと思い、体を起こした。
「あ、ちゃんと布団に入ってなきゃダメでしょう。パジャマに着替えて」
その時、布団には入ってなかった。
着替えてもいなかった。
さっきまでだるくて、そんな気にはなれなかったから。
先生がかけ布団を捲ってくれて、私は素直にそこへ入った。
「大丈夫?まだ、頭痛い?」
もう一つのベッドの端に座り、優しく聞いてくるM先生に、私はなんだか泣きそうになった。
そんなに本気で心配してくれるのが、とても嬉しかったから。
「…つっ…///」
すると、先生が私の額に手を当てて来て、私は驚いてしまった。
「熱いね…」
心配そうな顔で、優しく呟く先生は、本当に看護士さんのような天使に見えて。
笑われるかもしれないけど、その時は本当にそう思えたんだ。
―ああ、この人は…すごく優しい人なんだな…
そう思ったら、なんか急に恥ずかしくなった。
「少し寝る…?」
「うん…」
また少し頭がぼうっとして来て、私は頷いた。
「じゃあ、また後で来るからね。ちゃんとパジャマに着替えるんだよ」
部屋を出ていく先生に手を振って、ドアが閉まると私は目を閉じた。
また、涙が出そうになったから。
その初日の日は、夜になってまたM先生が部屋に来てくれたり、部員の皆がコンビニでヨーグルトなどを買って来てくれたりと、優しくしてくれる皆に感謝をした。
それと同時に、皆に迷惑をかけてしまったという、後悔みたいなものも増えていった。
翌日、熱は完全に下がっていたのだが、食堂の同じテーブルで一緒に朝ご飯を食べている時、私はふと気付く。
何故だろう、先生の事が気になり始めていた。
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