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(いま…翡翠の向こうの地面が、おかしかったような…)
もう一度目を擦ってよく見ると確かに地面が渦巻いた
(…え…?)
「…おねーちゃーん?」
「…え、ああ……!?」
翡翠が先ほど渦巻いて見えた地に足を進めようとしていた
ドクリ
心臓が、いやな音をたてる
(いやな予感が、する)
冷や汗が背中を伝う
「翡翠!!行くな!!」
めいっぱい叫ぶ
「お姉ちゃん、いま何時だと思ってるの?ていうか、怒鳴っても捕まんないよー」
翡翠は気付かない
「違う!!止まれ!!」
ごぷり
(妙な音がした)
直後、翡翠が地に呑み込まれた
「っお姉ちゃん…!」
「翡翠っ!!」
手をのばすが、翡翠の腕は地に沈み、のばせない
夜月の手もギリギリ届かなかった
ごぷり
完全に呑み込まれた
地は何事もなかったように、昇り始めた朝日に照らされていた
(最後に見えた翡翠の、瞳…また、あの時の、暗く、冷たい瞳だった…?)
夜月はその場にしゃがみこむ
「ウソだろ…?翡翠、どこだよ…?」
ドコニモイナイ
アタシガ、マニアワナカッタカラ
「あ…翡翠ぃぃぃいいい!!」
その時、どこかから、声が、聞こえた
「…完全に呑まれたな」
逆光でよく見えない
「だ、れだ…?」
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