序章

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黒い霧がかかったような、暗く不気味な空間。荒れた土、近くの険しい剣山に風がぶつかり、悲鳴にも聞こえるような悲しくおどろおどろしい音が鳴り響く。 『宇宙刑事ギャバン』は、仮想マクー空間の中で敵の気配を探っていた。静かすぎる、一時の静寂。その時、地表から這い上がったベムモンスターの鋭い爪がギャバンに向けられた刹那、ギャバンの腕のひらが展開して、一瞬ピカッ、と光り雷のような轟音がしたかと思うと、ベムモンスターを初め、その周囲にわたる空間は、根こそぎ蒸発された。 『ギャバン』は躊躇わず、今度はブレードを引き抜くと、姿を表し向かってくるダブルマンに挑んでいった。 『キエエーーーッ!!』 果敢に剣を降り下ろすダブルマンの攻撃を、ギャバンは微動だにせず、そのまま受け入れた。ダブルマンの高周波ソードは彼の腕力とギャバンの受け身によって勢いよく弾かれ、火花を散らし砕けた。 -シュバッ、 レーザーを纏った刃が、ダブルマンの身体をバターのように易々と両断していく。銀色に輝く装甲が、ダブルマンの肉片の色を反射して、赤く光った。
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