序章

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ふと、地面がよりいっそう暗くなる。頭上を見上げると、血のような紅の機体、ブラッディメアリーが見下ろすようにして武器を構えていた。ゲリラ用の二足歩行兵器、その殲滅用途特化型だ。戦車や小型戦闘機、歩兵などを相手にしている。 通常ならコンバットスーツでも太刀打ち出来ない相手だが、ギャバンは全く物怖じせず、15メートルの巨人に砲口を向けた‥‥‥ * * * 銀河連邦警察の本部が存在し、宇宙全体の秩序の中心として機能しているのが、バード星である。 一万二千年前、地球のムー大陸の住民を祖先とする彼らたちは、古くより宇宙の治安を守る者たちとして、文明を発展させてきた。衛星軌道上をぐるりとうめつくすオービタルリングの四本の軌道エレベーターのうち、一号機の最上階に、銀河連邦警察の最高首脳陣が集うブレインルームがある。その一室で、宇宙警視総監アランはシミュレーションの結果を見ながら、険しい表情をしていた。 「コンバットフレーム‥‥‥か。」 仮想空間では、ブラッディメアリーを真っ二つに両断しても尚、敵意をサーチするギャバンの姿があった。
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