これが日常というものです。

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「床に這いつくばってる姿」 破片を拾い上げる手がピタリと静止する。 何を、言っているんだ、コイツは。 「はっ?いや、あの、よく聞こえなかったのでもう一度お願いします」 「もう一度?いいよ。君が望むなら何度でも」 その言葉はまるで愛を紡ぐかのように甘く優しく囁かれた。 「床に這いつくばってる姿、いいよね」 ニヤリと口角をゆるりと上げていく姿がたまらなく憎々しく思えた。 「…きっしょ」 小さく呟いた。 そう、私が仕える主、もとい紅(クレナイ)はドが付くSで変態だがこの国のトップに立つ大企業の社長。 つまり、大金持ち野郎で私の雇い主なのだ。 「人を見下せる位置にいるほど気持ちいいものはないよね。足蹴出来たらもっと最高だけど」 「…(死ねばいいのに…)。」
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