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気付いた時、私は、丘の上に立っていた。なぜそこに居たのかが分からない。
学校帰りに、気分が優れなくなって…。
その後からの記憶がない。
どうやってここに来たのか…思い出そうとしても思い出せない。
「どうしたんだろう…」
一人ぽつりと呟くけど、返事はない。
この場所には、来たことがない訳ではない。
来たことがあるのは…
まだ幼く物心がつく前の事だったと思う。
この丘は、父と母と三人で来た丘。
なぜ、ここに来たのだろう。
何かに誘われて来たのだろうか。
私の頭上は、夕焼けに染まるオレンジ色の空。
眼下には、小さなマッチ箱。その間の隙間を小さな車が行き交いする。
小さな人の群れ。
幼い頃同じ光景を見た。
「なぜ、ここに来たのだろう」
自分に問いかけてみた。でも、返事が返って来る訳がない。
丘の上の広大な草むらに仰向けに寝そべって、そして願った。
この世界が平和であるように、私の中もずっと平和でありますように…と。
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