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「お逃げ下さい。お逃げ下さい。このババのためにもお逃げ下さい」
「ババ…行けない。ババを置いて行けない」
「…様。あなた様は生きなければなりません。この世界の人の為に、ババの為に。あなた様は生きなければ…」
「ババ、私(わたくし)は、私は…」
「お逃げ下さい!」
ぴぴっぴぴっぴぴっぴぴっぴぴっぴぴっカチャ!
「…また…あの夢…」
目覚まし時計を止めて、憂鬱な体をベッドの上に起こす。
そして、毎日のように見る夢を思い出す。
最近、よく夢に見る一つの光景。
いつも同じ所で目が覚める。
一人の老婆が、私を見て”逃げろ“という。
必死に私を逃がそうとする夢。
その場所がどこなのか分からないが、その老婆は、高貴な服に身を包んでいる。
私はその老婆に、いつも同じ答えを返す。”逃げられない”と。
老婆を置いては逃げられないと。
しかし、老婆は、”私は生きなければならない。この世界の人の為、ババの為に、生きなければならない”と…
「何なの、あの夢は…私が何をしたの?」
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