第一章 二人で

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トントンッ 二人が旬なお笑い芸人の話題で盛り上がる病室に、看護婦が入ってきた 「あら、ミズホちゃん、また来たの?」 30代前半の濃い茶髪のポニーテールを垂らした看護婦は言う 「アケミさんこんばんは!」「どうも」 アケミと呼ばれた看護婦は、俺を担当している看護婦で、消灯時間近くまでいるミズホとも何度も面識があった。 「じゃあ、ラヴラヴな所悪いけど、消灯時間だから帰ってね!」 アケミはニコッと皮肉そうに笑って見せた 「ラヴラヴってそんなんじゃないですよ!」 俺は慌てて訂正する アケミ「あら~、とても友達には見えないけど~」 悪のりするアケミに、俺は照れを隠せないでいた 「勘弁してくださいよー」 そのやりとりをミズホは満足そうに見つめながら微笑んだ そう アケミの言うことは満更でもなく、俺にとってこのミズホと過ごす病室は、とても幸せな居心地の良い空間になっていた
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