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「王道転校生…なんと言う魅惑のワード…康之!お兄ちゃんは全力でお前の男子校ライフを応援する!東雲学園はお兄ちゃんの母校だ!」
あー、そういやそうだ。
俺は共学に通ってたけど、兄貴は東雲学園で生徒会長やってたんだったな。
何年も前の話なんですっかり…
「お兄ちゃんは中高と通ったにも関わらず、理想の王道転校生は現れなかった…
しかも、何故か生徒会からは頬を染めて告白され風紀からは迫られ一匹狼は俺の犬となり
アイドルは俺一筋、爽やか君は俺しか見ないしヤンデレ君は俺の為に回りを皆殺しにしようとするし、親衛隊は俺の親衛隊以外解散…なんとつまらぬ俺総攻めライフだった事か…!まさに誰得!」
「お兄ちゃん可哀相…っ!」
いみわからん。
キラキラとした光を撒き散らしながら、悲しみを表現しているらしい謎のポーズで佇む兄貴に、同じように謎のポーズで寄り添い涙を浮かべる可愛い妹。
いみわからん。
「康之。お前は愚かなる兄の轍を踏むんじゃないぞ!傍観者はあくまで傍観者!傍観者の立ち位置がなんであれ、総受け総攻めなどあってはならぬ。腐男子受けなど愚の骨頂!
ああ…この誰もを魅了する兄の美貌が憎い…っ!俺が平凡顔ならばきっと生徒会長などに選ばれる事もなく、教室の隅で俺様生徒会長×王道転校生を堪能できた筈なんだ…!」
「ちょっと待ってお兄ちゃん!腐男子受けをバカにしないで!
『俺はただ萌えが見たいだけなのに…なんでアイツの事…』
そんな腐男子の葛藤をなんだと思ってるの!」
「受けと言えば王道だ!腹黒副会長に口説かれわんこ書記に懐かれ俺様会長に押し倒されチャラ男会計に興味を持たれ双子庶務を見分け、鬼畜風紀に気に入られるのだ!」
「鬼畜風紀も受けよ!」
「由香里。お前は非王道と言う名に惑わされているだけではないのか?王道設定あってこその腐道なり!」
だから。いみがわからん。
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