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「いいか康之。オマエは自分に自信がなさすぎる。世界の奴らは俺に惚れて当たり前だと思って行動しろ
自分は王様だと思え、世界はお前に尽くして当然だ。お前は自分で思ってる以上にイケメンだ」
「…でも、俺父さんと母さんの息子とは思えない位凄い地味だし…兄貴の方がずっとかっこいいし…」
そうだ。
両親は30近い子供が居る様には見えないし、兄貴はただの会社員のくせにモデルみたいにキラキラしてるし、由香里はお人形みたいにふわふわした美少女で…
俺はと言うと、他の家族と比べると大分地味だ。
敢えて特徴を上げるとするなら、へたれな性格に不釣り合いな、切れ長と言えなくもないキツい目付きぐらいか。
『なんかぁ、宇野君って見かけだおしだよねえ』
『ごめんね、なんか思ってたのと違ったみたい』
どうやら、俺と付き合いたいと思ってくれる女の子は皆俺をワイルドな男だとか、兄貴みたいなハイスペックだと思っているらしい。
だから、付き合ってもヘタレな残念な俺にマッハで絶望して別れを切り出してくる。
最速記録なんて一日だぜ。
「女の子と付き合っても長続きしないし…付き合ってもなんか期待ハズレって…」
ああ、なんか落ち込んできた。
「お兄ちゃん…自分の事をそんな風に思ってたの…?」
「由香里…」
「そんなの…そんなのって…」
あーあ、せめて気にしてない様に見せたかったのに。
妹に、こんなコンプレックスだらけの情けない所は見せたく無かった。
「そんなの…
まるっきり無自覚非凡受けじゃないの!」
「…は?」
「お兄ちゃんはどれだけ私を萌えさせれば気が済むの!?
お兄ちゃん大好き!」
…よくわからないけれど、『ウケ』とやらには色んな種類があると言うことだけがわかった。
「康之覚えておけ、俺達は確かに美しい、お前と並べばかなりの格差があるだろう」
ひでえ。
「でもねお兄ちゃん。お兄ちゃん単体なら、周りの有象無象なんかと比べ物にならないくらいお兄ちゃんの外見はカッコいいの!トーマ兄と比べるからしょぼいの!
お兄ちゃんと一般人の間には越えられない厚い厚い壁があるのよ!」
…やっぱりひどい。
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