1時間目:今日から『き』のつく職員業

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俺には、兄貴が二人いる とはいっても、血の繋がりがあるわけじゃないけど。 ばる兄…鳥居昴さん。 兄貴とは幼稚園からの幼馴染みで、大親友。 昔から兄貴の後ろばっかりついてまわってた俺を、本当の弟みたいに可愛がって面倒を見てくれていた 兄貴は、中学生になると同時に全寮制の東雲学園に入学して、ばる兄は近所の公立中学に進んだ お兄ちゃんっこだった俺のために、小学生なんかを相手に遊びに付き合わせてしまい今は申し訳ないと思っている。 そして、高校生になったばる兄が兄貴と同じ全寮制の東雲学園に入ってしまった時は、割りと本気で泣いた。 「ふむ。幼馴染み年下攻めか!大人になって自覚するタイプだね」 なんて兄貴に言われた謎の呪文の意味も今は理解したけど、それは絶対に違う。と断言させてほしい。 「何をぶつぶつと言っているんだ、…康之…だよな?」 「う、うん」 不審そうな顔で頭のてっぺんから足の先までまじまじと観察され、顎に手を当てて首を傾げる。 「男子三日会わざれば刮目せよ。なんて言葉があるが、正月に会って以来変わりすぎだろう 確かに目付きは悪いが、素直で誠実ないいこだった康之はどこにいってしまったんだ 俺はお前のことを本当の弟のように可愛がり、むしろ桃真よりも純粋にお前の成長を願い喜んでいたと言うのに、 お前にホストのような姿は似合わないと思うんだ。確かにお前は格好いい。容姿は恵まれている。だが、お前はそんな軽薄な…」 「ばる兄ばる兄、落ち着いて」 かくかくしかじか。 「…………桃真…」 額を押さえて、しみじみと呟いたばる兄の顔には苦渋の表情が浮かんでいた。 幼馴染として、何か色々と思い出すことがあったのだろうか。 「あの…ばる兄…」 「いや、いい。気にするな。ちょっと昔を思い出していただけだ…そうか、お前まで…」 「あ、兄貴は俺が襲われないようにって、この格好を…」 「ホスト教師か…まあ、変装チャラ男と比べれば受け率は低いだろうが…」 ……………ばる兄が俺の知らない日本語を喋っている。
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