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「ばる兄大丈夫?」
「あいつのおかげで知らなくてもいい知識が次々と蓄積されてな…
いや今は俺の事などどうでもいい。桃真がお前を受けにしない為にその姿をさせたというのならば、俺も協力しよう」
「協力?」
「任せろ。お前のサポートを桃真に頼まれた。桃真にBL知識を植え付けられたのはきっと今日この日のためだったのだろう
お前は安心して俺に身を任せろ。桃真の可愛い弟であるお前の貞操を守るため、完璧な総攻めホスト教師に教育してやろう」
がっしと俺の肩をつかむばる兄の瞳にぎらりと炎が宿り、どこかで聞いたような台詞を宣言された。
「こっちがテニス部のコート、あっちは野球部だ」
「鳥居先生、こんにちは!」
「おーいっせんせー!」
「ちゃんと休憩を取るんだよ」
「「はーい!!」」
「ばる兄ってやっぱり先生なんだな。俺、てっきりおじさんのあとを継いで医者になると思ってた」
グラウンドを一歩進むごとに、夏休みだと言うのに部活に勤しむ生徒達から次々とばる兄に声がかかる。
『先生』と呼ばれるばる兄を見るのはなんだか不思議な気分だ。
「親のあとを継ぐより、母校で保健医やった方が人生楽しくやれそうだと思ってな」
「キャラもなんか違うし」
「だって、こっちの方が面白いからね」
初めて見た、いつもはクールなばる兄のにっこりと笑うほんわか笑顔に、うっかりきゅんとしてしまった。
「あぁっ!鳥居せんせー!」
「こんにちはぁー」
ぱたぱたと足音を立てて、ピンク色のテニスラケットを抱えた二人組みがこちらへと駆け寄ってくる。
ラケットとお揃いのピンクの可愛いテニスウェアを着た、子犬のような可愛らしい二人組みはばる兄を見てきらきらと目を輝かせている。
やべえ、ふんわり髪とうるうるお目目がちょう可愛い。
「やあ、夏休みなのに頑張っているね。水分と休憩をしっかり取って熱中症に気をつけるんだよ?」
「はぁーいっ!」
「じゃあ、失礼しまぁーす」
「きゃあっ 鳥居先生とお話しちゃったーっ!」
「隣のカッコいい人誰かなあ?新しい先生だったら嬉しいねっ」
「ねーっ」
周りにお花を散らせながら、ぴょんぴょんと跳ねるようにコートへと戻る子犬たちを見送り、手を振るばる兄へと視線を戻す。
「モテモテだなー」
「今も昔も、男にもててもなあ」
「え?」
「え?」
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