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「今の可愛い子犬ちゃん、男?」
「ここは男子校だが?」
「…え?だ、だって、唇つやつやピンクで手足も超華奢で…」
「男子校だ」
「そ、そうだけど…だって、声もあんなにきゃるきゃるしてて…」
「ここは男子校だ。何を今更」
「だ、だって!」
バッと振り返ったコートでは、さっきの子犬ちゃんが頭二つは大きい男に耳元で何かを囁かれて頬を染めている。
もう一匹の子犬ちゃんの頭を乱暴に撫で回してこっちを睨んでいる男が居る。
どう見ても、あのコートの中では恋のラリーが展開している。
ハートに恋のスマッシュが打ち込まれてるじゃねーか。まさにラブゲームですねってやかましいわ!
「だって!俺の高校にあんな可愛い生き物、女子の中にも生息してなかった!!」
あんなきゃるきゃるした生き物が高校生男子の中に存在してるわけない!
「ここは王道学園だからな」
「お、王道…」
そんな理由で生物の進化を捻じ曲げたと言うのか…この学園は。
「…ってか、兄貴も言ってたんだけど、『王道学園』てなに?」
「は?」
ほんわか笑顔から、目と口をめいっぱいに見開いた間抜けな顔。
今日はつくづく珍しい顔を見られるなあ。
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