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「桃真君は何でも出来るしどんな事でも優秀な成績を残した
だから、あの子は『出来ない』と言うことを知らない
躓いて、諦めそうになって、それでも立ち上がろうとした事がない
越えられない壁に当たって、どうしようもなくなって、諦めて悔しい想いをしたこともない
だから、あの子はリーダーになれても教育者には向いていない」
手招きをされて、大人しく遊也さんの隣へ行くと大きな手でよしよしと頭を撫でられた。
「私は、君が沢山努力をして、沢山躓いて、何度も何度も挑んできた事を知っているよ
私はね、生徒に必要なのは正解する事よりも、躓いた時に立ち上がる方法だと思っているんだ
誰よりも努力してきた君には、それが出来ると信じているよ」
わしゃわしゃと頭を撫で回す手が、あったかくて泣きそうだ。
「桃真君と同じじゃなくてもいいんだよ。桃真君は前だけを見て皆を引っ張って先頭を歩けばいい。康之君は、後ろから脱落しそうな人の背中を後ろから押してあげる事が出来る
出来ることができればいいんだよ」
ね?
と、笑う遊也さんの言葉に少しだけ気分が楽になったのは、やっぱり教育者なんだな。
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