0時間目:俺の家族がこんなに腐っているわけがない。

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部屋の入口から聞こえた冷たい声音に弾かれた様に振り返ると、そこには白衣に身に包んだ男が呆れたようにソファーの上の二人を眺めていた。 「と…とり…」 「いつも言ってるデショ鳥居先生。俺が興味あるのは一人だけだって」 「どうだかな」 溜息とともに吐き出された言葉と、困ったように笑う目の前の男。 『片思いなんか楽しいモンじゃねえぞ』 言外の言葉に、すべてが繋がったような気がした。 「せんせ…」 「さっきの話は、ほかの奴らにはだまっとけよ?」 長い指で少年の唇を押さえて困ったように笑う顔に、つられて頷くともう一度頭を撫でられる。 この人の目に、自分の姿はただの子供で大勢の生徒の一人としか映っていないのだ。 「先生…僕、は…先生を応援します…からっ」
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