0時間目:俺の家族がこんなに腐っているわけがない。

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はじまりは、一ヶ月前。世間では夏休みが終わる直前。 その頃、大学卒業後勤めていた会社が倒産し住んでいたマンションを出て行かざるを得なくなって、おまけにつきあい始めたばかりの彼女とは連絡が何故か取れなくなって… おめおめと実家に帰り家で就活をするでなくただ鬱々と毎日を過ごしていた。 人生の前半も前半でいきなり躓いて足止めを喰らってしまったような惨めな気分になってしまい、何もしたくない時間が続いていた。 そんな時、親戚の叔父さん…東雲遊也(シノノメ ユウヤ)さんが俺に声をかけてくれた。 遊也さん(あの人は名前で呼ばないとスネる)は、大きな学校の理事長をしていて、俺が今失業中と聞いて丁度高等部の教師を探していると言う話を持ち込んできた。 「康之君、確か教員免許持ってたよね」 「はい…昔から先生になりたくて」 小さい頃からの夢。しかしその夢は叶うことなく、俺は普通のサラリーマンの道を選ぶことにした。 それが、今更叶うなんてなんだか皮肉な話だ。 「…ってか、なんでこの時期に教師を募集してるんですか?」 夏に話を持ち掛けられ、春からでなく、出来れば今週中に…なんて急にも程がある。
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