妹の友達

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 季節はいつの間にか12月も中旬を迎え、学校中が数日後にまで迫っている生徒会主催の聖夜祭というイベントの準備に追われていた。 特に生徒会役員である俺は、山積みにされた雑務を必死に消化していく日々を過ごしている。 聖夜祭の勝手がわかる二年生で、かつ庶務という立場のおかげで、すっかり遣いっぱしりになっていた。 頼りにされているのは嬉しいが、各クラスから引っ張りだこにされては、体が持たない。 その上、生徒会顧問から雑務と学校入り口の鍵を渡されてしまったのだ。 「お前が最後になりそうだからな」という一言だけを残し、生徒会室で雑務に勤しむ俺に労いの言葉も無く帰ってしまった顧問に言葉を失ったものだが、結局最後の一人になってしまったのである。 電灯が全て消され、すっかり暗くなってしまった校舎から出て鍵を締め、今に至ったわけである。 時刻は現在22時30分。 公立高校の閉門時間から大幅に遅れての下校となってしまった。 「はぁ……」  堅く閉ざされてしまった校門をよじ登って乗り越え、ため息を洩らしつつ、寒風吹きすさぶ夜中の道を歩く。 電灯も無い田舎道を5分ほど歩き、高校前駅に到着。 木製の雨除けに、チャチなベンチが2つとその隣に自動販売機が置かれただけの、寂しい無人駅である。 あと10分後に来る予定の電車が終電だというのだから、つくづく田舎だと思わせられる。  そんな寂しい無人駅には、思わぬ先客がいた。 電灯すらない駅で唯一光を放っている自販機に、寄りかかるように蹲っている少女。 縮こまるように膝を抱え、うなだれるように俯いていた。 ジジジ……と呻く自販機の白熱灯に照らされている。  制服のブレザーの上から学校指定のコートを着ているらしく、脚を抱えるように組んだ腕の袖はブカブカで、指先しか見えていない。 大きめのコートらしく、スカートが殆ど見えていないため、コートからそのまま脚が見える。 白く柔らかそうな太ももと、スラッとした脚を膝まで隠す黒いソックス。 身長相応に長くはないけれど、白熱灯にあてられて、太ももだけがぼんやりと白く光っている。 表情を隠すように垂れ下がった髪は肩ほどの長さだが、色素が薄めなのか、白熱灯のせいで薄明るい茶色をしていた。  一定のリズムで上下する少女の背中を眺めながら、どこか見覚えがあるような気がして思案を巡らせた。
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