アルクの誤算

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眼球が焼けるような激しい光。 おまけに鼓膜が破れそうな轟音。 転移魔術の発動中。 そして只今、後悔中・・・・・・ 唱えた理由は「高度な白魔術を習得したい!」という向上心溢れるもの・・・・・・・ではない。 帰宅時間の短縮という白魔術師にあるまじき邪道なものだ。 「つぅ・・・・・・」 徐々に目に視力が徐々に戻ってきて、轟音も収まる。 「うっ、ここは?」 目の前には獅子が彫られた黄金の椅子。 僕の部屋が十は入りそうな広間。 赤絨毯が床一面を切れ目なく覆っている。 ―――しまった! 自分のドジさに嫌気が差す。 こんな貴族が夜会をやっていそうな場所に住んではいない。 原因はだいたい想像がつく。 さっきの呪文の言い間違え。 「フフ、光の中から人が現れるなんて驚いたわ」
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