アルクの誤算

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振り向くと灰色の髪をした女性が立っていた。 灰色といっても艶があり老婆のそれとは違う。 歳は20代にも見えるし、40代にも見える。 容姿は整っているけど綺麗だとか、可愛いとは思わない。 恐れ多くて目を伏せてしまう程高貴な美貌。 そう、まるで長くは見ていられない太陽のような美しさ。 少なくとも貴族の婦人、ひょっとしたら女王かも・・・・・・ 灰色の髪の女性はジッと僕を見ている。 「い、いえ、あの、これは」 この人に見られていると無意味に頭を下げたくなってくる。 「フフ、なるほどね、納得がいったわ」 泥棒等と納得されなければいいけど。 「あなた、白魔術師ね?」 正解なので首を縦に振った。 よくよく考えてみたら杖を持っていて、白いローブを着ていれば白魔術師以外あり得ない。 「ライン王国にようこそ!ゆっくりしていってね」 この貴婦人は旧友との再会のように肩を揺さぶってくる。 一瞬、王宮で歓迎パティーでも開いてくれるのではないかと期待した時、 「許可証を見せてくれるかしら?」
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