7001人が本棚に入れています
本棚に追加
振り向くと灰色の髪をした女性が立っていた。
灰色といっても艶があり老婆のそれとは違う。
歳は20代にも見えるし、40代にも見える。
容姿は整っているけど綺麗だとか、可愛いとは思わない。
恐れ多くて目を伏せてしまう程高貴な美貌。
そう、まるで長くは見ていられない太陽のような美しさ。
少なくとも貴族の婦人、ひょっとしたら女王かも・・・・・・
灰色の髪の女性はジッと僕を見ている。
「い、いえ、あの、これは」
この人に見られていると無意味に頭を下げたくなってくる。
「フフ、なるほどね、納得がいったわ」
泥棒等と納得されなければいいけど。
「あなた、白魔術師ね?」
正解なので首を縦に振った。
よくよく考えてみたら杖を持っていて、白いローブを着ていれば白魔術師以外あり得ない。
「ライン王国にようこそ!ゆっくりしていってね」
この貴婦人は旧友との再会のように肩を揺さぶってくる。
一瞬、王宮で歓迎パティーでも開いてくれるのではないかと期待した時、
「許可証を見せてくれるかしら?」
最初のコメントを投稿しよう!