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歩いていくと、道端には跪いたかたちで首のない、ヒトだったものがありました。ぼくはそれを素直に美しいと思いました。
本来なら首があっただろうところはみずみずしい赤色、それはぼくにかめりあの花を思わせるに十分すぎるものでした。
先程見かけた頭蓋骨の持ち主かもしれない。風化しきり、生命の息吹を微塵も感じさせぬ路傍の石にも似たあの骨と、この新鮮なかめりあをイコールで繋ぐこと自体馬鹿げている。ぼく自身そう思うのですが、しかしそうとしか思えないのです。
誰かに問いたくても、今度こそ回りには誰もいませんでした。
ぼくの頬には、空から熱い雫が一つ二つと落ちてきます。そっと拭ってみると、それは無色透明でした。
かめりあは美しく花を咲かせていますが、これが元はどんなヒトであったのか、そんなことにぼくの興味は生まれない。
かめりあは最初からかめりあだったのです。
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