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『そろそろあの画像を消してあげるよ』
帰り際に彼女がそう言った。
素直に嬉しかった。
彼女にも色々と幸せなことがあって、色んなことから立ち直れたのだ思った。
そのための僕は、彼女のための奴隷だったのだ。
これで僕は強制ボランティアから脱却できるのだ。
そうだ。非常に喜ばしいことなのだ。
無駄に時間を費やさなくても済むし、筋肉痛に悩まされる日々とも、バラされる恐怖ともおさらばなのだ。
彼女はこれから彼氏に愚痴をつけるのだろう。
彼氏はそれを親身になって聞き入れるだろう。
どちらともに喜ばしいことではないか。
僕が彼女から愚痴を聞いても、それはストレスにしか変換されない。
なぜなら彼女と僕は立場が違う。
もしも彼女が僕の……………何馬鹿なこと考えているのだ僕は。
気違いにも程がある。
アホらしい。
不毛だ。
どうでもいい。
あぁ!どうでもいい!
僕の描いた絵がコンクールとやらで大賞とまではいかないものの、胸を張って自慢できるような賞をとった。
美術の時間でサクサクと描いた絵で良かったのか?と若干後ろめたさは残ったが、クラスの何人かが誉め称えてくれたことで、そんな罪悪感も消え失せた。
特に以前から密かに好意を寄せている彼女に声をかけられたことには、審査員全員に心の中で感謝を述べまくった。
そうして、彼女の勧めもあり、僕は遅ればせながら美術部の入部を決めた。
もちろん前々から絵には興味はあったが、もちろんのことその目的は彼女と比べると霞んで見えてしまう。
部活内で話す内に、彼女は僕の想像通りの女の子だと確信した。
物静かで、他人に気をつかいすぎ、暴力が嫌いで、そして何より絵が大好き。
僕の好みそのものだった。
あのDQNとは大違いだ。
こういう点であのDQNとは一線どころか、次元を画している。
そして、信じがたいことに彼女が僕を好いているという事実が発覚した。
部活の後輩が裏づけをしたということで、まず間違いはないだろう。
僕は天にも昇る思いで浮かれまくっていた。
ザマァみろ、リア充。と、罵っていたが、それになるかもしれない僕が言うのもなんなので、止めた。
かなり嬉しかったのだ。
不幸は続くと言うが、それならば幸運も続くのだろう。
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