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拳を振りかぶって走ってくる
「遅すぎだ、素人が」
喧嘩もしたことがないのだろう
チンピラの一人が腰の入っていない大振りのパンチを繰り出してくる
当然のようにそれを躱すと鳩尾にパンチを入れる
「ぐへぇ」
男が吹っ飛ぶ
そのまま地面に倒れて動かなくなった
「よくもやりやがったな、てめえ」
もう一人はナイフを持っていたが相方がやられて動揺している
その隙をついて近づき、男の手を掴む
「いでぇ」
握りつぶされた男の手からナイフが落ちる
手を放して男の頭を掴み、膝蹴りを入れる
チンピラはそのまま地面に倒れて鼻を抑えている
「終わったな」
チンピラの事など忘れたように後ろを振り向く
先程の学生を探したが付近には見当たらなかった
何時の間にか逃げてしまったようだ
「仕方ない、帰るか」
公園を出ようとした時、足元に何かが落ちていることに気づいた
周りが暗かったために見えにくかったが
よく見ると生徒手帳と書いてある
どうやら先程の学生が落として行ったものらしい
生徒手帳を落とし、そのまま公園を出る
二、三歩歩いたところで立ち止まり、もう一度公園に引き返す
「あーくそ、面倒だな」
見た目は不良だが根は凄くいい龍一であった
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