~鍵の鍵~

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~鍵の鍵~

“失われた我が愛する家族”…、私はそう入力し、力強くエンターキーを叩く。 …!?エラー!?どうして…?パスワードが違う? 私はもう1度同じ文を入力し、再びエンターを押す…、やっぱりエラー。 パスワードが違うのか…、それともここじゃないのか…。 その後も色々試行錯誤を繰り返すが…、やっぱり先に進まない。 「失われた、我が愛する、家族…。」 そう独り言を呟き、ハッと思いつく…。 失われた…、家族の…、名前?家族の名前を入力するのか? けど、アメリカ人ということだけでそれは以上は、聞いたこともない。 部屋の中を探し、それらしき物が見付かるかと思ったけど…何も無い。 …いや、もしかすると。 私は携帯電話を取り出し、黒澤に電話を掛ける。 件は私と黒澤に交流があった事を知っている…。 そして、黒澤はどうやってか、件の本名を調べ上げた…。 それは、件も知っている…、それを踏まえた上で…? 「…もしもし。」 「黒澤!?私、友香里!!」 「分かってるよ、携帯なんだから…、それで、何か掴めたのか?」 「そうじゃなくて…、黒澤って件の家族の事…、奥さんと子供の名前、知ってる?」 「あいつの家族…、あぁ、“川元ジュリア”と娘の“サラ”、だったかな? 確か、既に亡くなってた筈だが…、それがどうかしたのか…?」 やっぱり、黒澤は知って…、そして件もその事を見越した上で…。 「ジュリア…、サラ…、綴りは?」 「J,U,L,I,A…、それから、S,A,R,A、だ…、何か掴んだんだな?」 「いや、今のところはまだ…、もう少しで何か掴めそうなの。」 「そうか…、無茶はするな、危なくなったらすぐ、俺か武藤に電話しろ。」 「分かった…、ありがとう。」 私は電話を終え、キーボードに再び手を添える。 パスワード…“ジュリア、サラ”…、エラー。 パスワード…“サラ、ジュリア”…、エラー…。 今度こそ…、パスワード“julia,sara”…、来た!! これは…、数字の羅列…、もしかして電話番号? 誰の番号かは分からないけど…、出て来たという事は電話しろって事だろう。 私はもう1度携帯を手に取り、その番号に電話を掛ける…。 了
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