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~行方不明~
同日、18時、自宅リビング。
道端で立ち話をするのも迷惑になると思い、奈々子と別れ、武藤を連れて自宅に戻ってきた。
「一応、休暇の連絡は入れてたみたいなんですが、
急な事だったんで黒澤さんに連絡してみたんですけど…、
電話にも出ないし、自宅にも行ってみても、留守のようで…、
それで、榎本さんなら何か知ってるんじゃないかと思ったんですが…。」
「武藤刑事に分からないなら、私にだって分からないよ。
それに、アイツとは喧嘩中だし…、連絡取れなくなる直前はどこで何してた?」
「さぁ、本庁に戻ってすぐ、そのまま帰ってしまって…。」
「戻ってきたのはいつ?出来るだけ正確に。」
「確か…、4日の午後6時を過ぎてたと思います。」
11月4日の18時…、時間的には件の館を去った直後か。
だったら恐らく、黒澤が件の事を調べていたのと何か関係があるはず…。
「帰る直前の黒澤の様子はどんな感じだった…?」
「変わった様子は何も…、ただ、あの屋敷の監視を頼まれましたが…。」
あの時、黒澤が言っていた“カワ何とか”が、何かのハッタリだった?
それで件が何かしらの行動をとると予測して…、監視をつけた?
いや、だったら武藤にその後に連絡もしないのはおかしい…。
「黒澤は、休暇の届出はいつ出したの…?」
「その翌日…、5日の朝方だったと聞いています。」
つまり、監視をつけろと指示を出した後、帰宅中から朝方までの間に何かあった?
その時、急に武藤の携帯が大音量で鳴りだした。
「もしもし…、はい、え!?…分かりました、ありがとうございます。」
「もしかして…、黒澤から?」
「いえ、あの屋敷の監視をしていた者からです。
たった今、黒澤さんからその刑事に連絡があって、もう監視はいいとだけ…、」
…!!頭の中にアラートが鳴る…。武藤の言葉のどこかに…、あ!?
「武…ッ!!」
思いついた事を武藤に教えようとして…、躊躇する。
武藤は黒澤側の刑事…、なら、一緒に行かない方が…?
「やっぱり、ただ休んでただけじゃない、人騒がせな奴ね!!
連絡があったんなら、そろそろ黒澤も帰って来てる頃じゃない?」
「お騒がせしてすみません…、それじゃ俺、帰ります。」
武藤が帰ったのを確認した後、私は全力で駆け出す…。
了
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