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~海~
同日、22時、件の館付近。
私は物陰から、館を見張っている…。
私に予測が正しければ、黒澤がここを訪れるだろう。
もしくは、件が黒澤に元に行くか…、恐らくどちらかに間違いないだろう。
武藤が私の家に来ていたあの瞬間、黒澤は件の館の近くにいたはず。
“出勤していない黒澤が、張り込みをしていた人間”なんて分かるはずない。
それなのに黒澤はその刑事に連絡し、監視を解かせた。
もう中にいるかも知れないと思い、鉄柵の門扉を押してみたが鍵が掛かっていた。
あの門扉の施錠、開錠には件が持っている鍵が必要だ。
件がわざわざ“黒澤を門扉の前まで出迎える”なんて考えられない…、
鍵が掛かっている以上、件は間違いなく中にいて、黒澤はいないという事だ。
…だとすると、件が黒澤の元を訪れる可能性が高いか?
だけど、それなら“件の方から黒澤を呼び出した”事になる。
あれだけ嫌っていた黒澤を呼び出して何の話をするつもりなのか…。
もう、4時間近くここで見張っているが未だに動きが無い。
黒澤が人払いをしたからには、今日中に会うつもりなんだろうけど…、
…!?出て来た…!!
あれは・・・、件だ!!
以前見た外出用の服と雰囲気が同じだ…。
車は使わないようだから、そんなに遠くには行かないはず。
件は、私がいるのとは逆の方向に向かって歩き始めた。
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