街の英雄

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クエルに教わった、一般的な魔法とは異なる空間移動法。通常の魔法は頭の中で術式を構成した後、それでも処理しきれなかった部分を最後に口に出して言うことで初めて完成する。 だが、クエルから教わったこの空間移動法は頭の中で術式を最後まで構成することができ、口に出して言う必要がないということが最大の利点なのだ。しかしだからと言って術式が分かれば誰でも使えるというわけではなく、使用するに当たっていくつか条件があった。 1つは、数ある魔法の属性の内、闇属性の魔法を使えること。ちなみに魔法には全部で火、水、地、風、雷、光、闇の7つの属性が存在し、人間は皆生まれながらにしてその内のどれか2つを持っている。この移動方法は空間と空間を無理矢理繋げるため、それに伴った特徴を持つ属性の魔法、つまりは闇属性の魔法を扱える必要があるのだ。 2つ目に、空間と空間を繋げるに当たって、その2つの地点の座標を正しく理解していること。だが座標に関する知識は膨大な情報量から成り立っているため、すぐに覚えられるような簡単ものとは訳が違うのだ。リアはクエルから直接座標に関する全ての知識を教わったため正しく理解しているが、要領の良いリアですらその知識を完全に定着させるまでに1年以上もの歳月を費やした程だった。
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