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「おう。それじゃあな」
……………………
トロアークの中心に聳え立つ、高さ100メートル以上もある巨大な時計塔。そこから様々な店や建物の間を縫って南西に向かってしばらく歩いたところに、周りの住宅と何も変わらない極普通の2階建の家がある。
「ふわぁ……。なんか今日はやけに眠いな……」
その家の扉には鍵が掛かっておらず、リアも特に気にする様子もなく躊躇なくその家の中へと欠伸をしながら入り込む。
外見は極普通の、どこにでもあるような2階建の家。リアは15年前に拾われた時から今まで、ずっとこの家で暮らしていた。
1階にリビング、ダイニング、キッチンが揃っておりどれも充分な程広く、加えて2階も合わせると部屋も数多く存在している。だが中にはやはり使いきれずに空き部屋になっているものもあり、同時に掃除が少し大変だということが昔からの悩みでもあった。
「今日の晩飯、何にしよっかな……――って、ん?」
能天気な悩みを呟きキッチンを彷徨いていると、ある1つの違和感に気が付く。
それは冷蔵庫の前に置かれた、ペット用の餌入れの中にあるしばらく前から全く手付かずのペットフード。
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