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「あ゛ぁあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
体が!体が痒いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
身体中を掻きむしる会長を横目に、蒼は奏に「よくやった」、と言う。
奏の方も、「貸し1、ですね」、と言いながら、蒼が嫌そうな顔をしているのを見て、「まあ、ようかんでチャラにしましょうか」、と少し慌てた様子で言い足した。
蒼以外の人がみたら、わからないぐらいの動揺。
しかし、彼は見逃さなかった。
「なんで今焦ったんだ?」
「さあ、なんのことでしょう?それともなんですか?お兄さんは自分のせいでそんなことになったと思ってるんですか?自意識過剰ですか?気持ちわりーです」
やれやれ、と心の中でぼやく。
この子が動揺を隠す時は、決まってまくしたてるように毒を吐く。
以前にもそれを指摘して、気をつけたほうがいい、と言ったのだが、忘れているのだろうか?
「その癖、治ってないなぁ」
「いったい何を………」
はっとした顔で、奏は口を押さえる。
みるみる、顔が赤くなる。
「………コホン。お兄さん、ようかんはまだですか?」
「うわーすっげー雑な話の逸らし方。しかも真っ赤な顔で言われても、何の説得力もないよね」
うゅぅ、と口を詰まらせる。
「ま、冗談だ。今持ってくる」
そう言って、蒼が立ち上がると。
「うわっ、何これ!?」
先ほどまで鼻に風船を付けて眠っていた蓮が、不意に叫び声を上げた。
なにやってんだこいつ、と言う驚きの白さの目で蓮を見ながらも、蒼と奏も下を見る。
よく黒魔術で出てきそうな、魔方陣。
それを認識した刹那、蒼と蓮、奏の姿は一瞬で消えた。
蒼に精神をズタボロにされた3人も巻き込んで。
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