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数十秒間、抱きつかれたまま寝転がっているというシュールな光景が続いて。
「あー………ハルーシャさん?」
「リコリス、です」
「…………もうそれでいいや。で、何してるん?」
まったく状況が理解できない蒼が、呟くように言う。
照れている、とかそんなのではなく、面倒くさそうに天井を眺めていた。
「何って…………抱きついてるんですけど…………ダメ、でしたか?」
「や、そういうことじゃないんだが…………」
生憎ながら、蒼に涙目で下から覗くようなあの目線は通用しない。
理由はと聞かれれば、奏がいつでもどこでも使いまくってきたから。
つまりは、どちらかというと【慣れた】の方が正しいのだが。
「じゃあ、いいじゃないですか。もう少し、このままでも」
「…………お前がそう思うんならそうなんだろう」
そう言うと、リコリスはさらにきつく、蒼の腕に抱きつく。
ぎゅっ………という音が一人部屋にしては広すぎる空間に拡散し、消えた。
(…………家族が恋しい年頃なのか?
まあ、女の子だし。かなり性格も幼いし。仕方ないと言えば仕方ないのかも、か。
後、これはこの小説見てる方には分からないと思うんだけど、この子、物凄い力強いのよ。普通抱きついただけで腕からギリギリって音出ると思う?ちょ待って、これ以上やると腕が壊死するって痛い痛い痛い痛いいたたたたたたた)
慌ててそんなことを思いながら、引き剥がそうとするのだが、ピクリとも動かない。
仕方ないので奏を呼ぼうとドアの方を向くと。
壁】A・)ジー
↑こんな感じで、奏が部屋を覗いていた。
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