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「あー………もういいや。俺が作る。少しはマシなのが作れるはずだ」
「本音は?」
「晩飯にパフェなんざ食ってたまるか」
吐き捨てるように文句を垂らし、リコリスにキッチンの場所を教えてもらい、そこに向かう。
「アオイさんって、料理できるんですね。すごいです!」
「別に上手いってわけじゃないからな。デリバリーのクオリティを求めるなよ?」
「じゃあ作んないでさっさと頼めば………」
「黙れ料理からっきしのくせに」
「ぐっ…………」
そう。奏は料理が出来ない。
暗黒物質を作ったりするわけではないが、「食べられるか?」と聞かれたら「ちょっと厳しい」と答えられるような料理。
それが奏クオリティである。
「カナデさんは料理できないんですね。逆に意外です………」
「基礎がなってないんだよな。具材の大きさとか、調味料の順番とかな」
「むむむ」
「何がむむむだ」
「あ、ここですよ、キッチン!」
蒼に言い込まれた奏と、蒼の服の裾を摘まみながら歩いてマイペースに歩くリコリス。
パタパタと跳ねながら蒼の服の裾を摘まんで引っ張り、キッチンと思われる部屋を指差す。
「お、そこか。うし、とりあえず冷蔵庫を…………」
「あ、食材とかは全く入ってないですよ?ずっとデリバリーでしたから」
「……………」
何故先に言わなかったし。と、蒼はぼやいた。
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